【ジブリ飯を作る】もののけ姫のジコ坊の味噌粥を鉄鍋で炊いて味わう。蓬の香る滋味深いお粥。

『もののけ姫』のジコ坊の味噌粥

タタリ神の呪いを受けて里を離れたアシタカが辿り着いた人里で出会った僧形の人物”ジコ坊”。

この謎の人物がアシタカに夕食を振る舞う場面が幼心に非常に印象に強く残っています。人里から離れた場所で焚き火の火に鍋をかけて調理するというシチュエーションも憧れるものでした。背景に積まれた石や木の根などが描き込まれ、人が作ったようにも、自然にできたようにも見えるこの場所の不思議な雰囲気に惹き込まれたことを覚えています。

アシタカとジコ坊が食事をするこの場面は『シュナの旅』において”謎の老人にナンを振る舞い「神人の国」の存在を知る”という場面のオマージュなのかなと思って見ていました。*『シュナの旅』は映画『ゲド戦記』の原作の一つとしても知られている1983年に宮崎駿氏が描いた漫画作品です。

Photo:STUDIO GHIBLI

では、ジコ坊がアシタカに振る舞ったその料理の再現に取り掛かる前に、どんな料理なのかみてみましょう。

劇中では料理がどんなものなのかははっきりと言及されていません。なので、作中の描写から得られる情報からあり得そうな可能性を探していきます。

まず確定しているのが、お米料理だということ。これは直前にアシタカが砂金で米を購入しているシーンと、自ジコ坊がアシタカに料理を勧める際に” そなたの米だ。どんどん食え “と発言していることから確実です。さらに、調理描写からして、米を鉄釜で煮込んだ料理なので”お粥”と考えてよいでしょう。

ジコ坊の味噌粥には何が入っている?

さて、問題はここから。議論になるのはこの”鉄釜粥”の材料です。

米が煮上がったあたりで、ジコ坊が荷物の中からとっておきとばかりに竹皮に包まれた何かを取り出し、鉄釜に加えています。ここでジコ坊が入れたものはなんだったのか。色、形状など諸々の描写から、おそらく”味噌”ではないかと思われます。味噌なら保存もききますし、旅荷に入れてあってもおかしくないでしょう。また、調理の最後の段階に入れていることは、調味に使ったと考えられますのでその点からも矛盾はありません。

そして、もう一点。実はジコ坊が作ったお粥にはもう一つの食材、”野菜”らしきものが入っています。これが一番難しいところです。

完全な予想になりますが、これは野草の何かだと思われます。

というのも、アシタカは蚤の市で米以外のものを何も購入していません。これは米を買う際にアシタカが使った砂金が一騒動巻き起こしてしまったことからもわかります。米以上に鮮度が重要な生野菜をアシタカが持っていたとは思えません。

ジコ坊に関しても、彼が蚤の市で野菜類を購入しているとは考えにくいでしょう。実際、アシタカに米をたかっていますし、そもそも徒歩で旅をする人間が日持ちもせず嵩張る野菜類を持ち運んでいるというのは現実的ではない気がします。

ということで野草であろうと考えたわけですが、実は日本には“食べられる野草”というのは多く存在します。この蚤の市はアシタカの旅の最序盤ですので、場所としては東北地方(アシタカは蝦夷なので)周辺だと考えられます。東北地方に生息している食べられる野草といえば”よもぎ”や”菊”、あるいは『もののけ姫』の劇中季節は春から夏頃と考えられるので、行者ニンニクなどの山菜もあり得そうです。

作中の描写からするとネギやニラに似たような形状にも見えますので、行者ニンニクあたりが正解なのかもしれません。

『もののけ姫』より”ジコ坊の特製鉄鍋粥”を作る。

では、実際に”ジコ坊の特製鉄鍋粥”を作って行きましょう。

動画もありますので、よろしければ。


お粥といえば、最もシンプルな米料理といえますが、意外と作り方はさまざまなようで、お米をしっかりと洗うかどうか、お米を水に浸しておくかどうか、水をどの程度使うかなどと意見が分かれる点がいくつかあります。

個人的にはお米はしっかり洗って、調理前に1時間ほど水に浸しておく方法を採用しています。特にこちらのお米はお世辞にも質が良いとはいえないので、十分に下準備をする必要があります。

普段なら自家製の味噌を使うのですが、残念ながら今年の味噌の仕上がりが遅れているので、今回は既製の地味噌を使います。しっかりと味をつけるために、お味噌は気持ち多めに使うことにします。

さて、お米が十分に水に浸せたところで、雰囲気を楽しむために屋外に出て調理をします。

理想を言えば、焚き火の炎で調理できれば最高なのですが、残念ながらアウトドアの知識もなければ設備もないので今回は七輪に炭をくべて、炭火で調理することにしました。

焚き火の踊るような炎も良いですが、炭火の静かな火も違った魅力があります。

ちなみにこの日は、冬真っ只中。私の住む北極圏のこの街では-20度を下回る極寒日でした。

炭火の熱で暖まりながら、お粥の炊き加減に目を配りつつ調理を進めます。

上で書いたように、私見では行者ニンニクあたりが正解なのではないかと見立てていたのですが、残念ながらこの季節に行者ニンニクは手に入りません。なので、今回は代わりに、ねぎと蓬を使うことにしました。

*ちなみに、北欧圏でも季節になれば行者ニンニク(厳密には近親種ですが)は手に入ります。

お粥が程よく炊けたらねぎと蓬(日本から持ってきた蓬パウダー)を加えて、さっくりと混ぜてお粥の粗熱で軽く火を通します。個人的に生葱が好きなので、あまり火を通しすぎないようにしています。生ではないけれどクタクタではない程度に火が通るのが理想です。

もちろん、クタクタの葱が好きな人は、鍋を火から下ろす前に葱を加えると良いかと思います。ただ、長く煮込みすぎると色が悪くなるので注意が必要です。

最後に味を見ながら味噌を加え、しっかりと全体に馴染むように混ぜ合わせれば”ジコ坊の鉄鍋味噌粥”の出来上がりです。

実際に食べてみると、予想していた以上に蓬が美味しさを引き立てていました。少し濃いめの味噌の風味に、蓬の香りが口いっぱいに広がり、これが絶妙な味わいになります。ついつい、蓬を追加してしまったほどです。

“ジコ坊の鉄鍋味噌粥”美味しゅうございました。

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