“борщ”とは…
“борщ(Borsch)”とは伝統的な東スラブ料理の一つで、ウクライナの代表的なスープ料理です。主要な食材としてビーツが使用され、その特徴的な赤い色合いで広く知られています。

“борщ”は元々は”борщевик(ブタクサ)”と呼ばれており、その名称の通りのборщевикのシチューのことを表していたと言われています。一方で、«бърщь» がビーツの古スラブ語の名前であるという通説、つまり”борщ”という名称が主材料である”ビーツ”の古い呼び名に由来しているという説は誤りであるとされるのだとか。
料理の起源はキエフ大公国の領土で生まれたとされるようですが、詳細は不明です。国内にとどまらず、多くの国の料理に広まり、他に類を見ないほどの広い分布性と多様性を持つに至った料理です。現在では12種類ほどのバリエーションが存在すると言われており、これは過去にウクライナ国土が分裂してきたことと、ウクライナ料理の形成における近隣の国々(ウクライナは7つの国と国境を接し、さらに黒海にも面している)の食習慣や嗜好の影響に関連していると言う話もあります。数多く存在する”борщ”の地方種は多くの場合、その派生が生まれた地方の名前で呼ばれます。

ウクライナでは個人の魂がその蒸気と共に天に帰ると信じられており、弔事の際に供される伝統的な料理ともされるのだとか…。ただ実際には、弔事に限らず 婚礼や祭事など慶弔関わらず折々の機会に食されるもので、民族的な根幹にある食べ物であると言えます。
ちなみに、”борщ”がウクライナの人々にとってどれだけ大切な食べ物かを表すエピソードとして、Тернопольская地方の町”Борщёв(ボルシチフ)”の町名は”борщ”にちなんで付けられたというものがあるそうです。また、2022年のロシアのウクライナ侵略を機に、国連教育科学文化機関(UNESCO)はウクライナのボルシチ文化を無形文化遺産に追加しています。
さて、ではそんな”борщ”について最も有名な”赤い”борщの本格的なレシピを紹介しましょう。
“борщ”の本格レシピ

Ingredients
Method
- 牛塊肉はサッと洗ってから、いくつかの大きめの塊に切り分ける。

- 鍋に牛肉を入れ、ひたひたまで水を注いで火にかける。最低一時間ほど煮込んで、肉を柔らかくするとともに、スープストックをとる。アクは適宜取り除く。

- ビーツは生のまま皮を剥き、細切りにする。ビーツを調理する際はその色素でまな板などが赤く染まることがあるので、気になる場合はまな板の上にキッチンペーパーやラップなど撥水性のものを敷いて使うなど工夫する。また、ビーツの色素は指についても落ちにくいので、こまめに手を洗うと良い。

- にんじんは皮をお剥いて細かくすりおろしておく。

- 玉ねぎはみじん切りにする。

- じゃがいもは皮を剥いてざくぎりにする。

- キャベツは千切りにする。

- フライパンに油を敷き、細切りにしたビーツをサッと炒める。レモン汁と白ワインビネガー、さらに水を1/2カップほど加えて、満遍なく木べらで攪拌する。お酢などを加えることで、ビーツに含まれるベタシアニンとの作用で色抜けが抑えられ、鮮やかな赤に仕上がる。

- 別のフライパンに油を敷き、玉ねぎとにんじんを甘みが出るまでじっくりと炒める。

- トマトピューレを加え、しっかりと炒め合わせる。

- 鍋に牛肉から取ったスープストックを加える。牛肉自体は取り出しておく。

- 玉ねぎとにんじんを炒め合わせたものを鍋に加える。

- さらにビーツを加え、木べらでしっかりと混ぜ合わせる。

- 続いて千切りのキャベツを加える。しっかりとかき混ぜた上で、ローリエなどハーブを加えて鍋に蓋をし、中火で30分~1時間ほどかけて 野菜が柔らかくなり馴染むまで煮込む。

- 十分に煮込み 野菜が柔らかく煮込まれ、キャベツもすっかりと赤く染まれば、塩胡椒、ニンニクパウダーを加えて調味する。

- じゃがいもを加える。じゃがいもは煮崩れるので、最後に入れ、じゃがいもに火が通れば火から下ろせるようにしておく。

- じゃがいもが茹で上がるタイミングを見て、取り出しておいた牛肉を食べ良い大きさに切って加える。

- борщを皿に盛り付けて、スメタナを添える。

- 最後にディルを散らして完成。

![]()




